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小児・思春期の歯周病
歯周病は年齢とともに起きたり大人の病気と捉えられがちですが実はそうではありません。例えば歯周病の前段階である「歯肉炎」が児童や思春期の子供たちの間で蔓延していることはご存知でしょうか?さらに研究によると大人の歯周病よりも悪性度が高く進行の早い歯周病は大人よりも子供に発生する傾向にあることが分かっています。何故なら大人の歯周病が生活習慣によるものが多いのに比べ、子供の歯周病は生活習慣に加え、「遺伝的な要素」が関与していることがあるからです。また病気に対する防御機能も大人と比べ未熟な部分があるため進行が早く、重症化しやすいと考えられています。
歯周病には「歯肉炎」「慢性歯周炎」「侵襲性歯周炎」「広範型侵襲性歯周炎」の4つのタイプがあります。
子供のかかる歯周病の特徴
01歯肉炎
歯肉炎は歯周病の前段階の状態で歯茎が赤くなり水が溜まったように腫れ、歯ブラシなどの刺激でも出血してしまう状態です。この状態を放置することで歯周病へと発展していきます。
02慢性歯周炎
慢性歯周炎は小児の歯周病の中でももっとも多い歯周病で、歯茎の腫れや発赤、歯ブラシ時などをした際に出血する原因となります。歯肉炎と同様に通常の歯磨きに加え、デンタルフロスや歯科医院での定期的なクリーニングで予防可能な病気です。しかし、放置することでより複雑で深刻な歯周病へと発展していきます。
03侵襲性歯周炎
侵襲性歯周炎はたとえ健康であっても起こり得る歯周病の1つです。特に局所性の侵襲性歯周炎は10代の子供や若い成人に見られ、主に前歯や6歳臼歯など特定の歯に発症し、短期間で深刻に歯周病が進行するのが特徴です。しかし、決して歯磨きの状態が悪いわけではないことが多い為、原因がよく分かっていません。
04広範型侵襲性歯周炎
広範型侵襲性歯周炎は思春期に発生しお口全体に急速に広がる歯周病です。大量のプラークや歯石とともに発症する歯ぐきの腫れが特徴的で、急速に進行します。外科治療まで必要なケースが多く、治療を躊躇していると状態が深刻になってしまったり、発見が遅れると歯を失う原因となってしまいます。
子供の歯周病の原因とは?
大人も子供も歯周病の原因は「バクテリア」です。大人の歯周病は生活習慣病の1つと位置付けられていますが、子供の歯周病は遺伝的な要因と生活習慣の両方が原因と考えられます。しかし遺伝的な要素をお持ちの方全てが歯周病になるかというとそうではありません。例えば家系的に糖尿病のリスクがあったとしても食生活や運動習慣を心がけることで糖尿病を防ぐことができるように歯周病も予防が可能です。
歯周病の原因となるバクテリアは長年堆積したプラークの中にいます。つまりプラークが日常的に取り除けていない「習慣自体」が歯周病の原因となっているのです。
小児期・思春期の歯周病のリスクとなるもの
子供の歯周病はまだ未解明な部分が多く、原因がはっきりとはしていませんが次にあげる項目が子供の歯周病のリスクをあげると考えられています。
- 特定の遺伝子
- 歯茎への食べ物の入り込み
- 口呼吸
(口が渇くことにより歯茎や歯が渇いてしまうから) - 過度のダイエット
- 喫煙
- 自己免疫疾患やその他の全身的な病気
- 糖尿病
- 思春期などホルモンの変化する時期
- 歯ぎしりや食いしばり
- 特定の薬の副作用による歯肉増殖症
思春期の歯周病
2013年に海外で行われた大規模な研究では15歳~18歳の1,100人の学生を対象に調査を行いました。この調査で全体の65%以上の歯茎に何らかの異常が見られ、そのうち1.5%の生徒が「慢性歯周炎」、0.36%の生徒が「侵襲性歯周炎」と診断されています。
また平成28年に行われた日本で行われた調査でも10~14歳の児童のおよそ3割に歯茎の炎症があり、15~19歳では18%に歯肉炎、12%に歯周病が認められました。(平成28年歯科疾患実態調査より)
つまりおよそ3人に1人の子供に何らかの歯茎の異常がみられ、15歳以上では1割以上の子供が歯周病になっているのです。これは決して他人事ではありません。
思春期に重要なお口のケア
思春期になると成長のために体の中を流れるホルモンに変化が生じます。このホルモンの変化が歯周病のリスクとなるのです。思春期の間はプロゲステロンやエストロゲンといったホルモンが増え続け、歯肉への血流量が増えます。その結果、新陳代謝が活発になりプラークや食物残渣といった刺激物への反応性が高まり、歯茎が腫れて破れやすくなるのです。
そのため通常の歯ブラシに加えてデンタルフロスを使用するなど、家庭でのお口のケアが非常に重要になってくるのです。歯周組織の状態によっては歯茎や歯の植わっている歯槽骨へのダメージを最小限に抑えるために、歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングなどが推奨される場合もあります。
小児の歯周病を防ぐために大人ができること
小児に限らず全ての病気は早期発見が重要です。特にティーンエイジャーに特異的な侵襲性歯周炎は非常に進行が早く、発見が遅れることで若くして歯を失ってしまうという非常に残念な結果に陥ってしまいます。そのため定期検診の一環として小児のうちから歯周病の精密検査を実施することが大切です。
日頃から歯周病のチェックを行っていくことで初期の段階から病気を発見し、最小限の治療で完治させることができるだけでなく、子供のうちから歯周病という病気を認識させ、大人になってからも自らの健康を管理できるような教育を行うことが出来るからです。
なるべく小さいうちから清潔なお口の環境を確立しましょう!
お子さんが12ヶ月になったら歯磨き時に歯磨き粉を使い始めて構いません。1日2回歯磨きをする習慣をつけ、歯の生え変わりなどで歯と歯の間の隙間がなくなってきたらデンタルフロスも毎日行うようにしましょう。
両親が子供のお手本となるよう努力しましょう!
子供の口の中の細菌は周りの大人から感染します。お口の細菌層が確立されるのは生後およそ24ヶ月までの間と言われています。お子さんの将来のためにも接することの一番多い親がまずはお口の中を清潔に保つようにしましょう。そして身近な大人が健康的な食生活をすることも大切です。不規則に間食を食べる習慣や飲酒後に歯を磨かず寝たりする姿を子供たちは見ています。
定期的に歯科医院に通いましょう!
歯周病や虫歯などを早期に発見するために定期的に歯科医院を受診してチェックをしましょう。生え代わりの時期や外でおやつを食べるようになるタイミングが虫歯や歯肉炎の発生しやすい時期です。また歯並びの矯正も歯の生え変わりをうまく利用することで短期間で効果的な歯列矯正が行えます。もし日常的に服用しているお薬がある場合は担当医に申告してください。薬剤の中には口が乾きやすくなったり、歯茎を異常に増殖させたりするものがあるからです。
子供の歯周病の兆候を見逃さないようにしましょう!
家族ができる子供の歯周病のチェック方法として「歯ブラシ時に歯ブラシに血がついてないか」や「口臭がないか」「歯茎の色が真っ赤になっていないか」などチェックしましょう。日常的にチェックするためにも大人による仕上げ磨きを少なくとも10歳までは行ってください。また歯周病を悪化させるような癖がないかも観察してください。
早期発見のための歯周病の兆候
- 出血
フロスを歯の間に通すと出血したり、ブラッシング時に歯ブラシに血がついている場合は歯茎に炎症が起きている証拠です。
- 歯茎の腫れ
歯茎が赤みを帯び、歯と歯の間の三角形の歯茎が丸みを帯びていたら歯茎が腫れている可能性があります。
- 歯肉退縮
歯茎が下がり歯根が見えている場合は歯周病によって歯肉が下がってしまった可能性があります。また放置することでさらに汚れが溜まりやすくなりプラーク停滞因子となったり歯石が沈着する原因となります。
- 口臭
歯周病の原因菌はタンパク質を分解し強い口臭を放ちます。寝起きなどの特定の時間帯ではなく継続的な口臭の場合はお口の衛生状態が悪化していると考えられます。
- 排膿
歯の付け根から黄色い粘ついた液体が出ている場合は、排膿が考えられます。この場合すでに歯根表面に歯周病菌が付着し硬い歯石を形成していることが考えられるため歯科医院での徹底的なクリーニングが必要です。
- 歯並びの変化
歯周病によって健康な周囲組織を失うことで歯が揺れたり、歯並びが変わったりすることがあります。
小児の歯周病の治療方法
小児の歯周病治療は年齢や健康状態などによって異なります。また歯周病の進行度合いによっても選択される治療方法が異なりますが、どちらにしても早期の発見が大切です。 もし発見が遅れ、気付かずに歯周病が放置された状態になると歯の周囲の歯槽骨が溶け、歯を支えることができなくなります。そのため小児であっても大人と同様の歯周病治療が必要なことがあるのです。小児の歯周病に適応される歯科治療には次のようなものがあります。
デンタルケア
歯科医師や歯科衛生士による一般的なクリーニングに加え、家庭でのデンタルフロスやブラッシングが非常に効果的です。初期の歯肉炎や歯周病になりにくいお口の環境を整え、子供のうちから綺麗なお口の環境に親しんでもらうことで、大人になってからも自分の意思で予防を意識できるようにします。
スケーリング・ルートプレーニング
見えている部分に堆積した歯石だけでなく、歯茎の中にまで入り込んだ歯石を特殊な器具や超音波を使って除去する治療方法を「スケーリング」と呼びます。また歯石を除去した後の歯根表面はボコボコしているため歯石が再付着しやすいです。そのため特殊な器具を使って表面をツルツルに仕上げ汚れがつきにくくします。この治療を「ルートプレーニング」と呼びます。大人の歯周病治療で一般的に行われている方法で歯周病でやられてしまった歯茎も綺麗で滑沢になった歯根には再びくっつくことが出来ます。
抗生物質
歯周病菌の殺菌作用がある抗生物質を数日間服用したり、歯周ポケットに直接軟膏として入れたりします。特に侵襲性歯周炎は急速に病状が進行するため有無を言わさず投与が必要な場合があります。当院で採用している抗生物質はバクテリアを殺菌するだけでなく、菌が作り出す骨を溶かす酵素に対しても阻害する作用があるので殺菌と進行抑制、2つの効果があります。しかし、一生抗生物質を飲み続けるわけにはいきませんので、あくまで進行を一時的に食い止め、その間に通常通りの歯周病治療を行うといった目的で使用することが多いです。
外科治療
歯周病が進行してしまい通常のクリーニングやプロフェッショナルケアでは届かないところまで細菌が侵入してしまった場合は、外科治療で直接細菌を除去する必要があります。特に思春期に発症した侵襲性歯周炎では大人になってからの本格治療では手遅れになるケースが多く、年齢的に本人の理解が得られやすいことから選択されることが多い治療です。
歯並びと歯周病の関係
歯周病予防と矯正治療の関係
あまり馴染みがないかもしれませんが、歯やそれを支える骨は自然界では例がないほど過酷な環境に晒されています。常に水の中に浸っていて、お湯を飲んだりアイスを食べたりすることで100度近い温度変化を受け、噛むことで自分の体重と同じくらいの力を負担し、しかも常に細菌からの侵襲に晒され続けているからです。そんな理由からお口の組織の新陳代謝は体の中でもかなり活発な部位でもあり、常に古い組織が壊され新しい組織が作られ続けています。
しかし、この絶妙なバランスで保っているお口の健康も均衡状態が崩れるとバクテリアの侵襲に耐えることが出来なくなり歯周病へのカウントダウンが始まってしまうのです。
歯並びが悪いということは次のようなリスクがあるということが言えます。
- バクテリアの停滞しやすい環境が生まれる
- それぞれの歯が本来持っている機能が果たせず、一定の歯にだけ負担がかかってしまう
- 正常な顎の発育が出来ずさらに歯並びの悪化を招いてしまう
虫歯も歯周病も歯並びも問題の芽が小さいうちに摘んでしまうのが得策です。歯並びの悪さに絡んで起きた歯周病は治療も複雑化しやすく、完治するまでに長い年月も要します。乳歯のうちから矯正治療を行い将来起こりうる歯周病の予防をしてきましょう。
当院で取り組んでいる小児矯正
小児の矯正治療は乳歯の生えそろった5歳ごろから計画を立て始めます。乳歯列の段階で歯並びがよくないとその後に生えてくる永久歯もその影響を受けて歯並びが悪くなってしまうからです。乳歯列期は顎の成長を促すことで歯並びを改善できることに加え、上下ともそれぞれ10本ずつしか歯がないため動かす歯が少なく最小限の治療で済むことが多いです。また乳歯列期に矯正治療を完了出来なかったとしても、大人の歯が生え始めてからの矯正治療に繋げることができるため、5歳ごろから歯列矯正の準備を始めるメリットは非常に大きいといえます。
歯周病予防のための小児矯正
小児の矯正治療は大きく分けて3つの時期に分けられます。
ステージ1乳歯列期(2歳~6歳)
乳歯期の矯正治療は歯や顎が正常に発育できるよう誘導することを目的として行います。この時期の治療のゴールは後から生えてくる永久歯が入るスペースを確保し、歯並びを正常に導くことです。この時期に矯正治療を行った方が良い児童としては次のケースが当てはまります。
乳歯列期の矯正治療ではまず、歯並びを悪化させる要因を探り出し改善していくことから始めていきます。例えば指しゃぶりをする癖がある児童では上の前歯が前方に飛び出てしまうことがよくあります。こういった癖を取り除いた後に矯正医が個人に適した矯正装置を診断し、製作していきます。この時期の矯正装置としては顎の発育を促す装置、大人の歯が生えてきた時のスペースを作る装置、乳歯が変な方向に傾かないようにする装置などがあります。
- 食べ物がきちんと咬めない
- 早い時期に乳歯を失ってしまった
- 顎関節がカクカクなってしまう
- 歯ぎしりや食いしばりの癖がある
- 口で呼吸する癖がある
ステージ2混合歯列期(6歳~12歳)
混合歯列とは乳歯と永久歯が混在した状態です。この時期に行う矯正治療のゴールは上下の顎の位置関係を正しい位置にし、奥歯がきちんと噛み合った状態にすることです。混合歯列期は歯も歯茎も成長段階で柔軟性があるため矯正治療を始めるのにとても適した時期です。ステージ1と同じく、この時期も矯正医がそれぞれの状況に適した装置を選び、製作します。この時期に使用される矯正装置には取り外し式の装置だけでなく、歯に直接くっつけるタイプの装置のこともあります。特に歯に直接つける矯正装置を使用する場合は汚れが溜まりやすいためより一層ブラッシングなどのケアが必要です。
ステージ3永久歯列期(13歳以上)
思春期になると周りの大人だけでなく子供自身が矯正治療の必要性を強く認識するようになります。この時期に行う矯正治療のゴールは機能面だけでなく、笑顔をより美しく歯並びを整えていくことです。この時期に最も多いのが混合歯列期にも使われる「ブラケット」という装置を歯に直接つける方法です。矯正治療が終了した後はその状態が長く続くように「リテーナー」と呼ばれるマウスピースを使い後戻りしないようにしていきます。
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