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インプラントを失うかもしれないインプラント周囲炎
人工物であるインプラントは、天然歯のように虫歯になったりすることはありません。しかし、適切なセルフケアができていないとプラークや歯石が付着して、インプラントの歯周病である「インプラント周囲炎」になってしまうことがあります。
こちらでは、多摩市永山の歯医者「福嶋歯科医院」がインプラント周囲炎の症状や原因、治療法などについてご紹介します。
インプラント周囲炎は新しい病気です
日本全国でインプラント治療を受けている方は、300万人もいると言われています。しかし、すべてのインプラント治療を歯周病専門医が行っているとは限りません。そのため、歯槽骨や歯周組織が適切ではない状態でインプラント治療を行っている例も散見されます。
インプラントを装着した箇所に起こる歯肉炎を「インプラント周囲粘膜炎」、歯周病を「インプラント周囲炎」と言います。症状が悪化するとインプラントが抜けてしまうことがあります。
2017年に行われた研究によると、インプラント治療を受けた患者様の29.4%がインプラント周囲粘膜炎に、そして9.3%がインプラント周囲炎になっているという報告*があります。この結果を日本のインプラント人口に当てはめてみると、300万人中、おおよそ30~60万人がインプラント周囲炎を発症していることになります。
* Leeら Journal of Dentistry Volume 62,July 2017,Pages 1-12
インプラント治療が普及した半面、
適切でない治療が散見されるように
今から30年ほど前に日本に導入されたインプラント治療は、当時としては画期的な治療方法でした。入れ歯やブリッジとは異なり、機能性や審美性に優れ、なおかつ他の歯への負担がかからずに済むからです。しかしその反面、難易度が高い治療方法でもありました。
その後徐々にインプラント治療が一般に普及していき、インプラント治療に対する障壁も下がってきました。インプラント治療で使用する医療機器(歯科用CT、正確に埋入するためのシミュレーションソフトなど)が発達したことも、インプラント治療が普及した大きな要因だと言えます。また、インプラントメーカーも耐久性やデザイン性に優れたインプラントを開発し、インプラント治療の難易度や術後の安定性は高まりました。
もちろん、インプラント人口が増えること自体は悪くありません。ただ、「歯が抜けてしまう根本原因である歯周病を完治させないままインプラント治療を行ってしまう」など、適切でない治療が見られるようになってきました。
今後、増加が予想されるインプラント周囲炎
インプラント治療が普及しインプラント人口が増え、なおかつ術後の安定性が高まったことで、今度はインプラントの歯周病である「インプラント周囲炎」が増加し始めました。そういう意味でインプラント周囲炎は、認識されるようになったばかりの新しい病気と言えるでしょう。
そのため、原因が完全には解明されておらず、治療法も確立されていないのが実状ですが、最新の研究では、「喫煙」と「歯周病の有無」がインプラント周囲炎を引き起こす最大のリスクだと考えられています。
自覚症状はないものの、潜在的な患者様は多数いると思われます。インプラント周囲炎に対する認知が広まることで、自覚症状がない方の受診が増えるかもしれません。今後は、インプラント周囲炎の患者数が増加していくと予想されます。
インプラント周囲炎チェック
下記に当てはまる項目があれば、インプラント周囲炎にかかっている可能性があります。早めの受診をお勧めします。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯磨きの際に歯ぐきから出血することがある
- インプラントを埋め込んだあたりに痛みがある
- 歯ぐきを押すと膿が出てくる
- 歯ぐきが痩せてきたように見える
- インプラントがぐらつく
インプラント周囲炎になる原因
インプラント周囲炎の原因については、少しずつ判明し始めています。下記のような症状があれば当院までご相談ください。
- 喫煙している
- 歯周病になったことがある
- 現在、歯周病になっている
- 糖尿病である
- 骨粗鬆症やリウマチなどの基礎疾患がある
- 歯みがきが苦手
- 古いタイプのインプラントを入れている
- インプラントが歯ブラシを当てにくい位置や構造になっている
- インプラント治療後のメインテナンスにきちんと通っていない
- インプラントの周囲に角化歯肉(硬くて厚い歯ぐき)がない
インプラント周囲炎を放置するリスク
インプラント周囲炎は歯周病と同じように、自覚症状が分かりにくいまま進行する病気です。放置してしまうと、インプラント周囲の歯槽骨が急速に吸収されていきます。
例えば上顎の奥歯にインプラントを入れている場合、すぐに上顎洞まで炎症が広がり上顎洞炎を発症することがあります。このように、インプラント周囲炎を悪化したまま放置すると、インプラントを支える歯ぐきや顎の骨が溶かされ、せっかく入れたインプラントが抜けてしまうことにつながりかねません。
福嶋歯科医院のインプラント周囲炎治療
インプラント周囲炎の症状が進行している場合は、インプラントを撤去する可能性を前提に治療方針を決めていきます。骨が溶けてしまうほど症状が進行していないものの出血があるような場合は、清掃を行ったうえで消毒液による洗浄や抗生物質の投与を行います。
もしも、インプラント周囲炎が重度にまで進行している場合は、天然の歯と同様に外科手術を行い、インプラントの周囲にこびりつく歯石などの感染源を取り除き、歯槽骨を再生する治療を行います。また、インプラントを完全に撤去し、歯槽骨を再生する手術を行ったのちに、再びインプラントを埋入することもあります。
インプラント周囲炎を防ぐために
インプラント周囲炎を予防するために大切なのは、何よりも日々のメインテナンスです。また、喫煙や全身疾患が悪影響を及ぼすことも判明しているため、禁煙や疾患の管理も重要になります。
そして一番大切なのが、歯科医師や歯科衛生士のサポートを得ながら、自分自身の病気に向き合い管理していく姿勢です。大切な歯を失ってインプラントを入れた事実と向き合い、これまでの生活習慣を見直すことをお勧めします。
福嶋歯科医院では、患者様ご自身がしっかりとホームケアを行えるよう、さまざまな面でサポート致します。そして、メインテナンスを継続的に受け頂くことで、インプラント周囲炎の予防と早期発見・早期治療につなげて参ります。
福嶋歯科医院のインプラント周囲炎治療の流れ
こちらでは、インプラント周囲炎治療の流れをご案内します。インプラント周囲炎の症状を自覚したらできるだけ早くご相談ください。
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STEP精密検査
インプラントの周囲からの排膿や出血の有無を、「プローブ」という器具で確認します。その後に、歯科用CTなどを用いて画像診断を行います。
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STEP基本治療
「インプラント周囲粘膜炎」または「インプラント周囲炎」と診断された場合、まずは基本治療から始めます。基本治療では、ブラッシングの見直しや、歯科衛生士によるインプラント周囲の清掃、消毒液による洗浄や抗生物質の投与などを行います。
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STEP再検査
治療後は、2週間の治癒期間の後に再検査を行います。この段階でインプラント周囲の炎症がなくなっていればメインテナンスへ移行しますが、そうでない場合は外科治療へと移行します。
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STEP外科治療
基本治療でインプラント周囲の炎症が改善されない場合、外科手術によってインプラント体を露出させ、再度インプラント表面の洗浄を行います。必要に応じて、PRGF(Plasma Rich in Growth Factor)と呼ばれる再生療法を行い、インプラント周囲の歯槽骨の再生を同時に進めていきます。
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STEPメインテナンス
治療後は日々のメインテナンスが重要です。インプラント周囲炎を悪化させる喫煙は控え、全身疾患の管理も続けて頂きます。また、インプラント周囲炎の早期発見や再発防止のためにも、3ヶ月に1度のペースでメインテナンスを受診してください。メインテナンスでは、インプラント周囲のクリーニングに加え、必要に応じてブラッシング指導なども行います。
インプラント治療後は定期的なメインテナンスが重要です
インプラント治療は予後が良い治療法ですが、他の治療方法と同様にメインテナンスが不可欠です。特に、治療後に起きる可能性がある「インプラント周囲炎」は、こまめにメインテナンスを行い、早期発見で予防していくことが重要です。
また、インプラントに限らず日々のブラッシング習慣は、ご自身の歯を虫歯や歯周病から守るために大切です。当院のメインテナンスでは、ホームケアをより効果的に行うためのアドバイスや、レントゲンを用いた細かな説明を行っています。
口腔内の状態は一人ひとり異なりますので、患者様に合わせたメインテナンスやホームケアが必要です。患者様のインプラントを長期間、良い状態で維持して頂けるように、日本とアメリカ両方の歯科医療の良い点を組み合わせた歯周病治療やメインテナンスをご提供しています。
インプラント周囲炎の症例
症例の詳細
治療名称 | 前歯部インプラント周囲炎に対し、外科的・補綴的アプローチを行なった1症例 |
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費用 | およそ400,000円(税別) |
治療期間 | 6ヶ月 |
患者様の主訴 | 前歯のインプラントがぐらつく |
治療を行ううえでの注意点 | インプラント周囲炎は未知の部分が多く、完全な治療方法が確立されていません。しかし、主な原因として細菌感染症が考えられるので、さまざまな方法を使って洗浄していきます。綺麗にしていく過程で、病巣となった組織の一部も切り取っていくので、術後に歯ぐきが後退するような形で治癒する可能性もあります。 |
治療方法 | こちらの患者様は他の歯科医院にてインプラントの治療を行い、その後のメインテナンスにしばらく通わなかったためインプラントの周囲に汚れが付着し、インプラントの歯周病である「インプラント周囲炎」になってしまいました。実際ぐらついていたのはインプラントではなく、そこに接続されていた土台にあたる部分だったので、感染部分を含めて除去し、インプラントは残したまま被せ物を再作成していきました。 |
インプラント周囲炎についてお答えします
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- インプラント周囲炎とはどんな病気ですか?
- インプラント周囲炎とは、インプラントに発生する歯周病のことです。天然歯の歯周病よりも進行が早く、炎症の範囲が2倍近く大きくなるという特徴があります。症状が進行すると、インプラントが抜けてしまうこともあります。
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- インプラント周囲炎にはどんなリスクがありますか?
- インプラント周囲炎にかかってしまうと、インプラント周囲の歯槽骨が溶けてしまい、周囲の歯やインプラントに悪影響を及ぼす可能性が高まります。さらに、症状が進行してインプラントが抜けた場合、空いたスペースを埋めるように隣り合う歯が動いて、歯並びや噛み合わせが悪くなってしまいます。
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- インプラント周囲炎の人はどれくらいいますか?
- 2017年に発表された大規模な研究では、インプラントのおよそ10%にインプラント周囲炎が発生し、インプラント治療を受けた方のおよそ20%がインプラント周囲炎を抱えていることが分かりました。この確率を日本人に当てはめて考えると、現在300万人以上の方が何らかのインプラント治療を受けているので、約60万人の方がインプラント周囲炎になっていることになります。
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- インプラント周囲炎は突然発症するものですか?
- インプラント周囲炎は炎症が歯槽骨にまで及んでいる状態ですが、その前に歯肉から炎症が始まります。この状態を「インプラント周囲粘膜炎」と呼び、インプラント周囲炎の前段階と考えられています。2017年に行われた大規模な研究によれば、インプラントのおよそ30%、インプラントを受けた患者様のおよそ47%がインプラント周囲粘膜炎になっていることが分かりました。
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- インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の違いは何ですか?
- 天然歯で例えると、インプラント周囲粘膜炎は「歯肉炎」、インプラント周囲炎は「歯周病」に相当します。歯肉炎は、歯科医院でのメインテナンスやホームケアをしっかりと行うことで改善が見込めます。同様にインプラント周囲粘膜炎も、比較的簡単な処置で治癒が期待できます。一方でインプラント周囲炎は、専門的な治療を行う必要があります。
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- インプラント周囲炎の原因は何ですか?
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インプラント周囲炎の原因には不明な点が多く、「細菌感染説」「残留セメント説」「チタンナノパーティクル説」などが考えられています。しかし、まだ原因がはっきり分かっていないのが実情です。
ただし、インプラント周囲炎を引き起こしにくいとされる形状のインプラントが登場しています。インプラント治療を受ける際は治療費だけで判断せず、インプラント周囲炎を引き起こしにくいインプラントを採用している歯科医院を選ぶことも大切です。
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- インプラント周囲炎は遺伝で発症しやすい病気ですか?
- 現在のところ、インプラント周囲炎に特別なりやすい遺伝子があるとは考えられていません。2018年にまとめられた大規模な研究によると、歯周病の有無や喫煙習慣、糖尿病などがインプラント周囲炎になりやすくする要素であると結論づけています。
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- インプラント周囲炎の治療に保険は適用されますか?
- 残念ながら、インプラント治療自体が保険適用外となっているため、インプラント周囲炎の治療にも保険は適用されません。また、保険適用されたとしても技術が必要とされる治療であるため、インプラント周囲炎の治療を行える歯科医院はかなり限られると予想されます。
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- インプラント周囲炎ではどんな治療をしますか?
- インプラント周囲炎治療では、まず歯槽骨が溶けてしまった部分に入り込んだ肉芽と呼ばれる悪い組織を除去します。その後、インプラント表面の洗浄を行い、必要に応じてインプラント周囲の歯槽骨の再生を促す処置を行います。
インプラント周囲炎の治療費
1術野220,000円(税込)
歯周病専門医が執刀
1術野…前歯部6歯、臼歯部4歯まで
インプラント周囲炎の治療では、インプラント周囲の徹底した掻爬と洗浄を行います。また、インプラント周囲の骨が溶けてしまっている場合など、必要に応じて歯槽骨の再生を行う再生療法も並行して行います。インプラント表面を洗浄するだけでは不十分な場合は、一時的にインプラントの撤去を行い、歯槽骨の再生を行った後で、再度インプラントを埋入することもあります。
インプラント治療について
歯周病専門医が在籍する
永山の歯医者 「福嶋歯科医院」