こんにちは。東京都多摩市の歯周病専門医・福嶋歯科医院の勤務医 大枝です。
今回は「噛み合わせ」と「テコの原理」の関係性について研究を行いました。
梃子の種類について
梃子には次の3種類があります。
- 1級のてこ
- 2級のてこ
- 3級のてこ
まずはそれぞれについて解説致します。
1級のてこ
1級(類)のテコとは「支点」が中央にあり、左右に「力点」と「作用点」があるものです。
- シーソー
- モータースポーツ用のジャッキ
2級のてこ
2級(類)のテコとは「作用点」が中央にあり、左右に「支点」と「力点」があるものです。
- 裁断機
- 缶つぶし機
- ボートのオール
3級のてこ
3級(類)のテコとは「力点」が中央で左右に「支点」と「作用点」があるものです。
- 和ばさみ
- ピンセット
- 釣竿
上記3種類のうち、1級と2級のテコは例に挙げた通り、大きい力を作用点に出力することができます。
しかし、支点に大きい力がかかってしまい、特に1級は支点の損耗が激しいといった欠点があります。
それに対し、3級は大きな力を作用点に出力が出来ません。
しかし、力点の作業距離を作用点に大きく反映できる点や支点に大きな負荷がかからないといった利点があります。
では続いて噛み合わせについてご説明致します。
顎の構造について
正常な咬合と異常な咬合の場合の顎の構造は、簡単に以下のようになっています。
正常な咬合の場合
健康的な噛み合わせの場合、顎の構造は顎関節を「支点」、下顎角、筋突起を「力点」、咬む部位を「作用点」とみなすことができ、これは3級の梃子とみなせます。
3級の梃子は大きな力を作用点に出力ができない、支点に大きな負荷がかからないのが特徴ですので、顎関節や咬合接触面には大きな力はかからないことになります。
早期接触のある場合
早期接触とは噛み込んだときに全体が均一に当たるのではなく、どこか特定の場所が先にあたってしまい常に力がその部分に集中してしまうという噛み合わせです。
早期接触のある場合、早期接触のある部位を支点としてシーソーのような回転運動がおこると考えられます。
これは横から見れば1級の梃子、正面から見れば2級の梃子とみなせます。
これらの梃子の特徴は、大きな力が作用点にかかる、支点に負荷がかかりやすいのが特徴です。
咬合接触部位および顎関節には大きな負荷がかかることになります。
犬歯誘導について
また、食べ物をすりつぶす動作において顎を左右に動かすことを考えてみましょう。
歯がすり減っていない場合、顎を左右に動かした際には犬歯(糸切り歯)が接触し、臼歯部が離れるのが理想的なかみ合わせとされています。
この噛み合わせは専門用語で「犬歯誘導咬合」と呼ばれています。
犬歯誘導の場合、噛み合わせは2級の梃とみなすことができ、作用点には大きな力がかかってしまう噛み合わせです。
しかし、犬歯は歯根が一番長く、側方の力には強いといった特性がありますので大きな問題にはなりません。
では次に食べ物をすり潰した際の横方向の圧力が犬歯よりも奥の歯で起こった場合を考察してみます。
上の図(💀)を見ると、より支点に近い位置で接触が起こる事になることが分かります。
小学生の時に習ったと思いますが、2級の梃は支点に近いほど大きな力がかかるという特徴があります。
ドアの蝶番に指を挟むとめちゃくちゃ痛いのと同じです。
臼歯は上から押される力には強いですが、犬歯ほど歯根は長くないため、側方からの力には弱いという特徴があります。
これが続くと歯がいわば“捻挫”した状態になり、“咬むと歯が痛い”といった症状が出てきます。
これを専門用語で「咬合性外傷」と呼んでいます。
咬合性外傷は歯周病の状態を加速度的に悪化させ、歯槽骨などの歯周組織を破壊していくため、歯周病治療の一環として噛み合わせの治療も必要なのです。
という事で今回は歯周病を悪化させてしまう不正咬合とテコの原理との関係性についての調査でした。
大枝晃
2021年 北海道大学 歯学部卒業
2022年 北海道大学病院 臨床研修 修了
2023年 福嶋歯科医院 入職
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