ボツリヌス製剤を用いた咬合・審美治療

ボツリヌス製剤とは?

ボツリヌス製剤は、ペニシリンなどの「抗生物質」と同様に細菌が作り出した成分を抽出して医薬品として使えるようにしたお薬です。

筋肉の萎縮や痙攣を原因とする疾患による症状を和らげる他、重度の多汗症に対する治療薬としても日本でも広く使用されています。

歯科の領域では保険適応外使用ということで、使用が認められています。

咬筋群

ボツリヌス製剤の作用機序

ボツリヌス製剤は筋肉の運動神経終末の受容体に作用して、神経から送られる筋肉への命令を一時的にストップさせ、筋肉を収縮できなくします。

当院では、この作用を利用して次の治療にボツリヌス製剤を使用しています。

  1. 「歯ぎしり・食いしばり」の軽減
  2. 「歯周病」の原因となる横方向へのかみ合わせ治療
  3. 顎関節症治療
  4. 筋肉の過緊張による片頭痛の軽減
  5. 「ガミースマイル」の解消
  6. 矯正治療後の保定装置の代替治療
  7. 口呼吸による「口腔乾燥症」とそれに伴う「虫歯」の予防

 

 

ボツリヌス製剤と噛み合わせ治療

正常な人でも歯には体重と同じくらいの負荷がかかっていますが、実際に上と下の歯がかみ合っている時間は数分間~1時間程度です。

「歯ぎしり」や「食いしばり」がある方は歯に負荷がかかっている時間が10時間以上になることも珍しくなく、正常な方に比べて数十倍もの負担になっています。

多くの研究から「歯ぎしり」や「食いしばり」の習慣をなくすことは不可能であることもわかっています。

そこで、当院ではこれらの症状とうまく共存していく方法としてボツリヌス製剤を使った治療を推奨しています。

 

ボツリヌス製剤の効果

噛み合わせに関わる主な筋肉は4つあり、そのうちの1つにボツリヌス製剤を投与すると10日後にはおよそ半分にまで筋力が低下します。

しかし、0にはならないため食事や会話、日常生活を送る上で支障はありません。

この効果はおよそ5ヶ月後も続き、6ヶ月~10ヶ月ほどで投与前の基準に戻ります。

(引用: JOURNAL OF PHYSIOLOGY AND PHARMACOLOGY 2009, 60, Supple 8, 113-116)

ボツリヌス製剤の効果

ボツリヌス製剤による審美治療

ボツリヌス製剤では笑うと歯茎が大きく見えてしまう「ガミースマイル」も治療することが出来ます。

ガミースマイルの原因の多くは歯茎が出ているのではなく、上唇を上げる筋肉が強すぎるために発生しており、虫歯や歯周病の原因ともなっています。

その他にも矯正治療後にはめ続けなければならない「保定装置」の代替治療としても使用することが可能です。

Before-After

 

ボツリヌス製剤を使った治療に関するまとまった情報は当院のパンフレットをご参考になさって下さい。

 

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